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サルに石を投げちゃいかん、という話。

『ほ~~い!』
『おじいさんは元気しとるかん』
『もう寒くなったでのぅ、ようけ降りてくるだ~』


という会話で始まったある朝。
祖父を知る、猟師のおんちゃんとのひとこま。
当時の僕は中学生。
今から、何年前の話しだろう。




こんなことを書こうと思ったきっかけは。
少しずつ冷え込んできた先日のこと。
埼玉県の飯能という町のおんちゃんとの会話の中で、サルの話が出て。
そういえば、地元でこんな話もあったなぁと昔のことを思い出し。
思い出すままに書き連ねてみた次第。



この時期になると、サルは、人里に降りてきやすい。
実りの秋。    
えさとなる、栗やかぼちゃが実り。
山の中で一生懸命になって食べ物を探すより、人里にあるご飯を食べたほうが楽ってもの。




じいちゃんやばあちゃんが丹精込めて育てたナス、カボチャ、サツマイモ、スイカ、クリにカキ。
もうそろそろ収穫だなぁ、なんて思ってりゃあ。
どこからともなく降りてきて、いい具合に熟れた頃にかっぱらっていっちまう。
サルにとってはわーいご飯だ~と喜ぶ話しかもしれないが。
そりゃ人間にしたら、とんでもない話だから。
指を咥えて見てるはずもない。


『この盗っ人野郎!張り倒すぞっ!』


と怒って追いかけても、サルの群れに向けてロケット花火を撃ってみても。
群れの中に賢いサルがいると困ったことになるんだ。



朝早く、野菜を収穫しに畑に行くと。
いくつもの茶色い塊が畑の中をうろちょろしてるのが遠目にも見て取れる。


ん??
なんだろう、と考える前にばあちゃんは気づく。
『ありゃあサルだ!!』
言うが早いかばあちゃんがでっかい声をあげて、手に持った収穫用の鎌を振りかざしてサルを追う。


すると、サルの群れは慌てて逃げ出して山に戻り、木に登って枝に身を隠す。
『ふぅ、やっと逃げたか。これで安心だなぁ。』



と、ばあちゃんは少しだけ草取りをし、野菜の育ち具合を見て。
菜っ葉についた青虫をぎゅっとツメで潰し。
朝ごはんに必要な分だけ野菜をもいで、家に戻る。


そして、朝ごはんの卓を家族で囲みながら。
『今朝はサルがおってのう、野菜をとろうとしとった。気づいて追っ払ったからいいけんど、全部盗まれてえらいことになるとこだった。ちっとお金はかかるけんど、畑の周りにサルに入られんようにネットをせにゃあいかんなぁ。』


と今朝の出来事を話し。


朝ごはん後は洗濯物を干して、ひとやすみし。
そして、まだお日様がそんなに高く上がる前、まだ涼しさを感じられる頃にもう一度畑に向かう。


そして、畑の畝の周りに生えた草を引く。
よいしょ、よいしょと地道に草引きを重ねる。
引いた草の間からミミズが這い出し。
それを狙ってカエルが集まる。


ばあちゃんの後ろには、ススキがふわりふわりと揺れていて。
赤とんぼも飛んでいる。
そんな夏の終わりのひととき。



草をずっと引いていると、腰が痛くなる。
どっこいしょと腰をあげて、ん~と伸ばす。
そしてなんの気なしに、目を遣ると。
ナスの枝が引きちぎられて、サツマイモは蔓ごと引っこ抜かれて。
それはまさしく、芋づる式に。
ぜ~んぶ食われとる。



ことに気づく。




そんなときは、ぐぅの音も出ないそうな。



何が起こったかというと。
朝早くに泥棒の現場をおばあちゃんに見つかって。
慌てて山に帰ったサルたち。
でも、追っかけるのがばあちゃんで、その手には鎌しかない。
だから、ひとまず木の茂みに隠れ。
ばあちゃんが帰るのを繁みの中で目を凝らして見ているのだという。
そして、ばあちゃんが家に帰って畑を離れたのを見計らって。
堂々と畑のもんを食い荒らす。
そして、散々食べ荒らして山に帰る。



それが、ばあちゃんが朝ごはんを食べてたいっときの間。



もう一度畑に帰ったらな~んにも残っていない。
そりゃもう、たまんねえ話だ。


丹精込めた野菜をかっぱらわれてたまったもんじゃねえから、こちらも考える。
なんとかして脅かして、来ないようにせにゃあたまったもんじゃない。
だから、サルの群れを見たらロケット花火を撃つ。



ヒューーン、パンッ!!!



轟音が谷に響く。
ロケット花火の轟音に驚き。
慌てふためいて、手に抱えたサツマイモなんかを全てほっぽり出して。
それこそ、全力疾走で山に戻り、木に駆け上るサルたち。
でも、彼らの中でも学習する賢いやつがいる。



『ありゃあ、音がするだけで危害は加えられないなぁ』
と“こけおどし”であることに気づいてしまう。


すると、群れに対して撃っても、その場だけ逃げてまたやってきてしまう。



先ほどの話に出てきた、埼玉県の飯能の奥の集落では、サルの賢さを表すこんな話があった。
サルが出ると畑を荒らして困るから、追い払うのはそこも一緒。
その村では、木の板と木の棒を使ってガンガン叩き、大きな音を立てて追い払っていたそうな。
すると静かな山暮らしのおサルさんは驚いて逃げ出すわけ。
でも、慣れてくると逃げなくなるのは一緒。


そんなあるとき、村の衆がみんな街へ降りる用事があったそうな。
そして、街での用事を終えて、村へ帰る道のりを戻る道中。
村から、カンカン、ガンガンと例の音が聞こえた。
『はて、親戚でも村を訪れていて、サルがちょうど出たから叩いて脅して追っ払ってくれているんだなぁ』と思ったそう。


一同が村に着くと、斜面を駆け上がっていくサルたち。
そして足元には棒と、板が転がっている。
納屋に置いておいたはずのサル脅しが、こんなところに。
そして、村には人がいない。
はて、こりゃどういうことだ。



サルが、人が棒で板を叩くのを見て、真似していたのか…
それをして、脅そうとしたのかは分からないけれど、見ただけで教わったでもないのに。
真似をして同じようにできてしまう賢さ。
それを見た村の人も驚いただろうけれど。
それを聞いたとき、おいらもたまげたなぁ。



そういえば、同じような話で師匠にくどいほど言われた言葉がある。
それが


“サルには絶対石を投げたらいかん。”


というもの。
サルに石を投げたら、同じように真似して石を投げ返される。
その力はとんでもなく、こちらの頭に当たったら大怪我してしまう。
それに、石を投げることを覚えたら。
石を投げられて頭を抱えて逃げる人間を見て。
サルは、人間に石を投げることで効果があると知ってしまう。
石はどこにでもあるから、サルがそれを覚えたら人間は敵わない。
だから、絶対に投げたらいかん。


と。
強く言われたことがある。
今でもこうしてはっきり思い出せるほど、鮮烈に焼きついているサルの記憶。



山の中では、人よりサルのほうが、一枚も二枚も上手。


サルが怒ったときのあの顔。
歯を剥き出し、怒号をあげる。
そして、自分がいる枝を全力で左右に揺すって威嚇する。
そりゃもう、恐かった。
そんな恐いサルのと知恵比べ。
それがまた、面白い。


あらあら、サルのことを思い出して書いていたらこんなに長くなってしまった。
次回、そんな賢いサルを撃つ猟師のお話。
お楽しみに。

おふく
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プロフィール

atsutaya

Author:atsutaya




生粋の里山育ち。


*ククリワナ猟でイノシシやシカ。
*魚釣り、時に潜りとジゴク漁。
*貝にワカメにカニに山菜。
*秋はひたすらオオスズメバチ追い。

巡る季節のなか、自然に遊んでもらいながらも真剣に。
そんな日々の暮らしを綴るブログです。

著:(これ、いなかからのお裾分けです。)

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