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ええか。

はっきり言わせてもらうぞ。



おんしゃあ赤の他人や。

俺とはろくにつきあいもないが言わせてもらうきにゃあ。




“もう二度とやめてくれ。”

“ええか、何度も言わすなよ!!”






しばらく話した後の、帰り際。

上から下まで僕の格好をじろりと見るなり。

村のおじいさんがこう言い放った。





この少し前。

村の農道を通りすがり、会釈をしたぼくに。

彼は会釈を返すどころか。


“おまん、どこのだれなぁ!?”

と、こうきた。

原付を停めて、

“国光の別当に3月からお世話になってる福田です!”

と応えると。


“おー!あの若い衆か、大学生の!”

“おまんどうせ大学終わったら、すっとおらんなるろう。いつまでおるがな。”

ときた。



言っちゃあわるいけど。

ことばが荒く、眼もきつい。

まともにしゃべったのは、このときがはじめて。



そりゃあ最初にこんなものの言い方をされたらびっくりすらぁね。




おじいさんに会ったとき僕は、梅を採りに行った帰り。

原付の後ろには、オレンジのコンテナを積み。
中には梅が5キロほど入ってた。


あたりは夕暮れで、ヒグラシが鳴いてた。


カナ カナ カナ カナ


蚊がたくさん出てきて。

払いのけながら、話してた。



でも、分かったんだ。

言われてすぐ。

おじいさんが、何を言っているのかが。




僕の格好は、帽子につなぎ、足はゴム草履。



その格好だったから。



梅林、といっても大きな梅の木が二本だけ。

そこは草も刈ってあるし、小道もきれい。

だから僕は長靴も履かず、草履でひょいひょいと行った。

それに対し、“なめるなよ、小僧”と叱ってくれたわけ。



そろそろ、ハミが出るからだ。

そう、マムシのこと。

そんな格好で行ったら、もし踏んだら噛まれること間違いない。

いくら山に慣れていても、なめちゃいかん。

たとえ赤の他人だろうと、言うべきことは言う。


そうして初対面の僕に、短い言葉で言ってくれたのだった。



久しぶりにきつい顔で叱られて。


効いたなぁ。

ありがとう、おじいさん。

次からは長靴履いていきます!




そしてその帰り道。

おじいさんと分かれて一分も経っていないんじゃないだろうか。

道路脇の側溝に溜まった落ち葉を、ガサガサ掘り返している真っ黒な姿が一頭。

どうやらミミズを探しているらしい。




こっちに気づいて、慌てて側溝を飛び出した!!

それでそのまま逃げようと道路を走っていく。

それ見て、こっちも原付のアクセルを回して追いかける!!

捕まえられるはずもないけど、逃がすもんかっ、って思わずね。




そりゃあもう、すごいね、蹄の音。


カッ、カッカ、カッカ、カッカ


アスファルトの上を走っていくもんだから、ひずめが地面に当たって音がする。


そんでもって、こっちがいつまでも追いかけていくからイノシシも困る。

逃げようにも、右側は切り立った壁、左側は10m以上も高い川沿いの崖。


ほんだから、ひたすら道路を走って逃げる。

それもね、しょっちゅうこっちの様子を振り返りながら。


いやあもう、書いててうまくその時の興奮と迫力が伝えきれなくてもどかしいくらい、おもしろかった。



速いったらありゃしない。

原付のメーター見たら、40キロを越えてた!!

ゆっくりなようで、うんと速いのこれが。

山道だから、カーブもあるもの。

スピード違反ぞ、こりゃー!


そんで、300mも追いかけただろうか。

右の壁沿いを走っていたイノシシが、突如として左の崖の方向へ走り出した。


まさか、飛び降りる??

と思った刹那、ドッカーンとえらい音がしたよ。

ガードレールの下をくぐって、そのまま下の谷へ真っ逆さまへ落ちていった。


そんで、ドシャシャーンって。


最初の音は、イノシシの背中がレールにぶつかった音。

ガードレールに背中を擦って。

白塗りの鉄が震動でバリバリ揺れてた。


その後の音は、滑り落ちた音。



落ちるったって、高い崖。

しかも、直角に近いどころか、手前はえぐれてるから足をかける場所もない。

それに、走って飛び込んでいるから、真っ逆さまに落ちたはず。



まさか、と思ってすぐに川を覗いたのと、


バッチャーン

だか

バッシャーン

だか知らないけんど、すごい音がしたのが同時くらいか。

そしたら見えた。

転げ落ちたイノシシが、水深20cmほどの川をバシャバシャ音を立てながら。

水を跳ね飛ばし、蹴散らしながら対岸へ走る姿が見えた。

足をひきずることもなく、走って茂みへ消えてった。


しばし、呆然。

まさか、と思って。


何度か崖の下を見直したけれど、やっぱりここから跳んで。

そのまま歩いて山に帰っていった。

ことばにならん、あの身体の丈夫さ。


イノシシに突進されて人が大怪我したり。



そうそう、地元のおっちゃんが。

軽トラ乗って、家への帰り道。

山道でイノシシに出会ったから、跳ねとばして殺して、肉にして持って帰ろうとした。

ドッシーン、と。

加速して、跳ねたと。

イノシシはゴロゴローと地面を転がって、そのまま起きて平気な顔して走り去って。

軽トラは目玉が割れて、前が凹んで、半損で修理に出したと。

なんて実話があったのも、頷ける。

ありゃあすごいよ、あの丈夫さは。


ほんで、またイノシシの跳んだ後を見直したら、ふと気づいた。

日陰のところだから、ガードレールに苔が生えている。
その苔がね、レールの一部分、しかも下側だけ。

きれいにたわしで擦ったみたいに削り取られてるの。

毛の擦った後がはっきり残ったまま。


やっぱりそうだ、ここから。

ここから跳んだ、あのイノシシ。

勢い余って、レールに背中を擦り。

苔を削ったから、跡が残った。



この現場、家のすぐ前のところだから。

誰か来たときに、見てもらわんとなぁ。

見たら分かる、このすごさ。


そらあもう、びっくりするで。


ところであのイノシシ、背中すりむいて痛くないんかなぁ。
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プロフィール

atsutaya

Author:atsutaya




生粋の里山育ち。


*ククリワナ猟でイノシシやシカ。
*魚釣り、時に潜りとジゴク漁。
*貝にワカメにカニに山菜。
*秋はひたすらオオスズメバチ追い。

巡る季節のなか、自然に遊んでもらいながらも真剣に。
そんな日々の暮らしを綴るブログです。

著:(これ、いなかからのお裾分けです。)

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