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教授とはちとり

昨秋。

僕は、教授の方々とはちとりに行きました。

知恵を受け継いでオオスズメバチと遊ぶ学生に先生たちは興味深々。

『刺されない』のであれば、是非やってみたいとのこと。

その日集まったのは、僕の研究室の教授と、文化人類学の教授、そして社会学の教授と奥さん、そして僕。

いずれも僕がお世話になっている、先生方。

いつもは教壇の上から講義をしてくれる先生たちに対し、今日は僕が先生。

先生たちに、『言う事をしっかり聞いて、守ってください。』といくつかの約束を伝え、山に入った。

あまりの恐怖に直面すると、動揺のあまり勝手な行動に出てしまうことがある。

それは、本能で忌避行動をしてしまうものだから自分で止められない可能性もある。

でも、その勝手な行動が命取りになりかねない。

だから、必ず言う事を守ってもらう。

そこらへんの遊びと違う。

守るべきところが守れない人は話にならない。


口で言うのって、軽く聞こえる部分もある。

でも、自分の実体験をもとに話をすると、説得力と重みが言葉にある。

話を聞くときの先生たちの目は、真剣だった。


巣の側に着いた。

オオスズメバチを刺激しないように、巣から離れた場所で着替える。

まずは、上下二枚の合羽を着てもらい、長靴を履いてもらう。

そして、覆面を被せ、首にはタオルを巻いて防御対策をしてもらう。

秋とはいえ、太陽がガンガン照りつける中で、合羽を二枚。

先生たちが、興奮しているのが見える。

顔から滴り、光る汗。

熱いからか、恐怖による脂汗か。

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オオスズメバチの巣は、地中にある。

だから、まずはひたすら僕がノコギリ鎌で掘っては穴を拡げ、巣の中にいる成虫を捕まえてはひたすら容器に入れる。

巣は見えても、巣の大きさ以上の幅の穴を掘らなきゃ取り出せない。

これが半端でなく大変。

身体を肩から突っ込んで、巣を出す。

汗はダラダラ。

筋肉は硬直して、吊りそうになる。

でも、先には目的があるから、単なる穴掘りとは違う。

しんどいけど、目的があるから頑張れる。

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巣を出したら、やっと一息つける。


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僕の後ろでは、怒ったハチが飛び回る。

巣を僕に掘られ、怒り狂った彼らは動くものに、手当たり次第に飛びつき針を突き刺す。

そりゃそうだ。

家を盗まれるんだもの。

先生たちの役割は、スズメバチをラケットで叩きつぶすこと。

最初に僕が手本を見せる。



ガチガチガチ


羽音とともに聞こえてくるこの音。

顎を鳴らして、威嚇している。

そして次の瞬間。

パンッと合羽から音がして、衝撃が残る。

気づいたら、空を舞うオオスズメバチに飛びつかれているのだ。

服の上に合羽二枚着たら、まず針は通らない。

針が皮膚に通っても、そんなひどいことにはならない。

それは頭の中で分かっているつもり。

でもその瞬間は、4歳から体験してても未だに冷や汗が出る。


先生も挑戦。

でも、怖くて腰がひけるから叩けない。

へっぴり腰になる。

軽く当てただけだと、余計オオスズメバチは怒って戻ってくる。

叩き潰す。

それが、一番大事。

空振りした瞬間、毒を霧のように出しながら飛びついてくる。

それが目に入ろうもんなら、ヘタしたら失明。

ちょっぴり入っただけでも止まらない涙。


痛いなんてもんじゃない。

空を飛び回るハチを目で追い、必死に叩こうとする先生。

半端でなく怖いはず。

怒声をあげて闘う先生たち。

それを横目で見ながらひたすら巣を掘る僕。

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上の写真、先生の顔の右横に浮かぶ黒っぽいもの。

それがオオスズメバチ。

先生の死角から、狙っている。

その後、見事に先生は飛びつかれて悲鳴をあげていた。

計、1時間くらいだろうか。

先生たちには安全なところまで戻ってもらい、僕は最後の一仕事。

巣の周りに残ったオオスズメバチたち。

彼らをみんな叩き潰す。

一羽を叩いた瞬間、周りの空間にホバリングしている彼らは一斉に僕に飛び掛る。

恐怖を押し殺し、目の前のハチを倒す。そこに生きている実感。

巣をとると、そこに残ったスズメバチは怒っている。

もし誰か通ったら、襲いかねない。

それで農家の方が刺される事故が毎年起きている。

だから、巣のあったとこにできる限り親蜂を残さないのが父の教え。

穴も、当然埋める。

それができなきゃ、山で遊ばせてもらう資格はない。




闘いは終わり、合羽を脱いだ先生達は汗だく。



でも、いい顔してた。

全力でやり切った、かおしてた。


興奮冷めやらぬまま。

車に乗って、大学に戻る。

みんなで輪になって、お疲れ様。


きれいな六角形の巣穴。

分度器も定規も使わずに、巣穴を形成するハチたち。

芸術のよう。

中には、びっしり埋めつけられた卵。

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右側に突き出た針。

僕の手がごつすぎて分かり難いかな。

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文化人類学の先生が見るまなざしが本気だった。

先生は何を思ったのだろう。

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巣を獲ったら、ここからが新たな始まり。


幼虫とサナギ、これを佃煮にして食べる。


うまい。


ただその一言。


食が溢れたこの時代にも喜んで食べられ続けている理由。

高たんぱくの栄養源。

いなかの、知恵を持った限られた人だけが口にできる食材。

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それが、オオスズメバチ。



『福田、また連れてってくれ~!』

御年、60歳にもなられる教授が。

たかだか20過ぎの僕にこういう。


そんなおもしろさが、ハチとりという文化にはある。
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プロフィール

atsutaya

Author:atsutaya




生粋の里山育ち。


*ククリワナ猟でイノシシやシカ。
*魚釣り、時に潜りとジゴク漁。
*貝にワカメにカニに山菜。
*秋はひたすらオオスズメバチ追い。

巡る季節のなか、自然に遊んでもらいながらも真剣に。
そんな日々の暮らしを綴るブログです。

著:(これ、いなかからのお裾分けです。)

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